作文優秀作品(愛知商業)

2月 6th, 2013

ありがとう。

 
 『嫌な事からは適当に理由づけて逃げる』体育の持久走、小学校やっていた部活、嫌いな先生の授業、人間関係、勉強。負けず嫌いな性格は言い訳によって勝ったことにし、自分を守ってきた。それが中学までの私。

2012年4月桜が舞う頃、私はこの学校に入学した。新しい制服、新しいクラスメイト、新しい教科書。何もかもが新しくなった場所で逃げ腰な私をちょっとでも改善できたらと思っていた。初めて聞いた簿記、初めてエクセルを扱った情報処理、経済や流通を初めて考えたビジネス基礎。1年生に受けた検定はすべて一発合格。私にはやっぱり普通科目より商業科目があっているのだと感じた。私は優越感に浸っていた。テストの点数はよかったわけじゃないけれど、それなりに満足していた。上を目指そうとはしなかった。私の力はこれくらいだと見切りを踏んでいたからだ。

私は部活もやっていた。勉強と部活の両立は大変だといつも聞かされていたけれど、どうってことはなかった。

だけど、2年生になって初めて検定に落ちた。秘書検定2級だ。どうしても納得がいかなかった。あんなに勉強したのに。誰よりも頑張っていたのに。私にとって初めて落ちた検定だったので自暴自棄になった。相次いで情報処理検定1級にも落ちた。秘書検定よりも勉強していた検定だ。検定前の採点では合格点を超えていたはずなのに。悔しかった。頭には「なんで」という3文字しか浮かび上がらず、何度も何度も自分の部屋の壁に頭をうちつけ、散らかした。こんなに狂ったのは理由があった。勘だけで解答欄を埋めた子が運よく受かっていたからだ。私の努力は何だったのかと絶望した。勘だけで検定が受かっていいものか。努力しても報われなかったという現実が私の胸を苦しめた。努力しても受からないなら受けない方がいい。これが利口な考えだ。そういって言い訳を繰り返し、逃げようとしてた。でも周りを見てみたら、落ちてもまた次頑張ろうとしている子が何人もいた。

私の将来、就きたい仕事は検定をいくつ取ろうと関係のない仕事。嫌いな勉強をしてまで取る必要などない。そういって頑張っている周りの子を、他人事のように見て目を何度もつむった。でもそれよりはるかに頑張っている子が眩しかった。私の暗闇の中で木漏れ日のようにキラキラと輝いていた。その子たちに嫉妬心さえ抱いた。そして輝けない自分に苛立ちを覚えた。どうしてそんなに頑張れるのだろう。私は不思議に思った。やっぱり就職や進学の為なのだろうか。でもきっと、それだけじゃないと思った。でもその先の理由は私にはわからなかった。わかれるような人間じゃなかった。気にしないとは言いつつも横目で羨んでいる私がいた。あんなふうにまっすぐ何かに向かえる人になりたい。あんなふうに常に上を求める人になりたい。でも私は落ちる事をおそれて前に進む事ができなかった。結局私は変わらず逃げているのだ。変わろうと希望を抱き入学したのに、あの頃の私と変わらない。変われないのだ。私は胸の奥が少し痛くなった。

そんな時、秘書検定2級の申し込みについての話があった。私は悩んだ。『でも受かるかもしれない…?』そんな悩みが頭の中でグルグルと渦巻いていた。落ちた子は何の迷いもなく、また受けようとしていた。私はあの日、もう検定なんて受けないと決めた。決めたのだから覆さない、と変なプライドが何度も出てきた。くだらないプライドをまた守ろうとしていた。だけど「本当にこれでいいのか?」と私は心の中に問いかけたくなった。申し込みの期限がどんどん近づいてくると、このままではいけないと思う気持ちが強くなった。少しだけ前に進みたくなった。

『私、変わりたい!』

と初めて思った。考えてみれば検定なんて持っていても無駄になるわけじゃない。受験料は自分への投資とでも思っておこう。そしてついに私は受けようと決意した。

 その日から部活の人に無理を言って休みにしてもらい勉強を始めた。もちろんまだ不安は沢山あった。でも、申し込んでしまったものはしょうがないといい聞かせ、勉強に励んだ。後ろは振り返らなかった。

 検定当日、すごく緊張していた。検定が終わって私は泣きだしそうになった。思った以上にできなかったからだ。合格発表の時はドキドキだった。周りの子が受かったと喜んでいた。正直、見たくなかった。怖かったからだ。でも勇気を振り絞って見てみると、なんと『合格』していた。ただただ純粋に嬉しかった。初めて受かる事の喜びを感じた。もしあのまま諦めていたら、何も持たないただの人。だけど今は秘書検定2級を持った人。1つの検定を持つだけで大きく変わるのだと、その時私は実感した。

 私は検定をまた受けようと思った。「今度は落ちても構わない、また受けてやるぞ」と強く思った。検定が沢山欲しくなった。就職や進学のためだけじゃなくてもっと先の将来のために検定という武器を持とうと思った。

 今なら検定を受けようとするもう1つの理由がわかる気がした。きっと今まで逃げてきたものの中には、逃げなければ手に入れられたものが沢山あったのかもしれない。プライドを守って、大切な物を失っていたのかもしれない。私は今更ながら気づいた。

 もしまた検定を受けて落ちたら気が済むまで泣き叫べばいい。だけど逃げたらだめなのだ。最後まであがこうと思った。時間が許す限り勉強をしよう。今できる事をやろう。今学んでいるものは未来で学べない。検定だけじゃなく、テスト勉強だってもっと上を目指せば上にいけるのだ。私はまだまだやれる。と何度も自信をつけようとした。自信が持てなければ何もできないのだから。

 あの頃から大きく成長したと私は思った。逃げ続けていた日々を恥ずかしいと思えるようになった。そしてこれからは絶対に逃げないと誓った。逃げるくらいなら立ち向かった方がいい。私はここで挫折をする苦しみを学んだ。成功する嬉しさも学んだ。逃げないことの強さを学んだ。挑戦する勇気を学んだ。諦めない心を学んだ。今を大切にする心を学んだ。あの頃から私は確実に前進している。考え方も気持ちも。確かにこの学校じゃなきゃ学べないことだ。

 私は今の私が好きだ。そして私を育ててくれたこの学校が好きだ。18年間の私の気持ちや想い、すべてを伝えられる言葉をここに贈りたい。そうたった一言だけれど私を私にしてくれたすべての人に

『ありがとう』

と今、伝えたい。