論文優秀作品(愛知商業)

2月 6th, 2013

ペットボトルのデザイン効果について

1.はじめに

『ガラスに比べて軽くて丈夫で、割れにくく安全』『飲みかけでも栓をしてまた飲むことができる』

 『中味が見えるので安心』これは、普段何気なく手にしているぺットボトル飲料水の特徴です。

 ペットボトルの歴史は比較的浅く、1971年しょうゆの容器として使われ、1982年食品衛生法が改正されて、飲み物の容器として使われ始めました。その後、2007年容器包装リサイクル法がペットボトルにも適用される等、約30年で日常生活においてなくてはならない存在となっています。

 しかし、そこには何が書かれているのかをよく見つめたことはあまりないと思います。せいぜいジュースを買うときの一瞬、捨てる時にラベルをはがす一瞬にそれを見ることがあるかないかだと思います。ところが、そこには、「商品名」「成分表示」「注意書き」そして「バーコード」「PET表示」「プラ表示」といった多くの情報が所狭しと書かれています。よく見ると、「まあよくこんな狭いところにロゴや色遣いや質感等、綺麗にデザインされているな」と感心してしまいます。

 形状についても丸型(炭酸用)と角型(無炭酸用)をベースに六角錐や瓢箪型、最近ではキャラクター型等、バラエティ豊かなデザインがペットボトル市場を賑わしています。

 そこで、私たちはデザインの目的や、理由、もたらす効果等について深く追求したいと思いました。研究を進めるに当たりまず、私たちはディベートによる議論を行い、種類別にラベルや形状の現状を観察法によって分析し、その結果に基づいて高校生を対象にアンケート調査を実施し、ペットボトルのデザインの現状や、印象、効果、将来性について調査・研究することにしました。

2.ディベートより

 『ペットボトルのデザイン効果はあるか否か』をテーマとして、ディベートを実施しました。

 まず、肯定派・否定派からそれぞれ賛成理由を出し合い、次にそれに対する反対尋問を考え、最終的に意見をまとめ結論づけました。

(1)賛成理由及び反対尋問

①ラベルにひかれて買う人もいる ⇔ デザインよりも中味重視

②その商品の宣伝効果につながる ⇔ デザインよりもCMの方が訴求力がある

③美味しそうにみえる ⇔ ラベルから味は想像できない

④商品のイメージが浮かびやすい ⇔ 同じようなものばかりで区別がつかない

⑤他の商品との差別化が図れる ⇔ 悪いイメージがつく恐れがある

(2)否定理由および反対尋問

①中味が少ない時がある ⇔ デザインと中味の量とは無関係である

②持ちにくいものがある ⇔ 持ちにくいものはない

③デザインが目立ちすぎて逆にマイナスイメージ ⇔ デザイン効果で訴求力がアップできる

④中味よりデザインにお金がかかっている ⇔ 大幅にコストアップしているとは思えない

⑤デザインがなくても味に変わりはない ⇔ 色彩などで味がイメージできる

(3)結論

 ペットボトルのデザイン効果は、消費者により多くの商品を買ってもらうための訴求力を高めることにある。

 デザインがあることによって、商品のイメージがわきやすく、美味しそうに見える。また、最近では人気キャラクター型をはじめ、様々な形状のボトルが販売され、そのデザインに惹かれて商品を買う人もいる。今では1つの商品に対して色々な会社からたくさんの種類が販売され、企業はデザイン効果によって、他社の商品との差別化を図っていると考えられる。企業が消費者にとって利便性が高く、インパクトの強いデザインを開発することによって、ペットボトル市場の向上に繋がるのは紛れもない事実である。

 しかし、デザインを重視するあまり、中味が少ない、持ちにくい、コストがかかる等、様々な問題が生じる。また、中味を重視している人にとっては、デザインなど気にならないだろう。

 現在では持ちやすいボトル、カバンに収納しやすく工夫されたボトル、飲み口が大きいボトル、飲みきりサイズのボトルなど、用途に応じた商品が次々と開発されている。

 このようなことから、味は勿論だがデザインがペットボトルの将来を握っていると言っても過言ではない。今後、消費者が購入しやすいペットボトルのデザイン効果にますます期待したい。

3.観察法より

対  象:ミニペットボトル   標本数:55本   調査期間:平成24年6月15日~22日

 デザインの現状を把握するために種類(果汁飲料・炭酸飲料・スポーツドリンク・お茶・水)ごとに特徴(形状、ラベルの大きさ、中味との関係、ロゴ、インパクト等)を分析しました。

 形状については冒頭でも述べたように炭酸飲料は丸型、それ以外は角形であることが確認できました。中でも瓢箪型のボトルはやはりインパクトの強さを感じました。ラベルについては水やサイダー等の透明感ある商品については部分的なラベルを採用しており、果汁系やメーカーの方針によって全体を覆うラベルを採用している傾向にあることが判明しました。中味とラベルの色彩関係については炭酸飲料では中味とラベルの色が異なるものが多いことが明らかになりました。ロゴについては、炭酸飲料、スポーツドリンクでカタカナや英語で表示されている商品が多く、またお茶のほとんどで漢字が使用されていることが分かりました。しかし文字の大きさに差異は見られませんでした。その他の特徴として、果汁を使用している商品にはその果物を取り入れたラベルを採用しているものが多くあることが印象的でした。

4.アンケート調査より

対  象:本校生徒   配布枚数:240枚     回収枚数:217枚   回収率:90.4%

調査期間:平成24年6月22日~29日

(1)ペットボトルの利用状況について

 まず、ペットボトルの認知度を調査するため「ペットボトルを知っていますか」と尋ねたところ、全員が「はい」と答えました。今やペットボトルは完全に生活に溶け込んでおり、なくてはならない存在となっていることが分かりました。次にどれくらいの知識があるのかを知るために「丸型と角型の容器がありますが、どのような理由があるか知っていますか」と尋ねたところ、「はい」と答えた人は約2割とほとんどの人が知らないことが判明しました。ペットボトルの主力である清涼飲料用ボトルは、内容物によって大きく炭酸系・非炭酸系に分かれ、前者が丸型(炭酸ガスによる圧力に耐えるため底が球状の足つき、肩部はなで肩になっている)、後者が角型(圧力がかからないためデザインの自由度が高い)であり、さらに耐熱用、耐圧用、無菌充填用、耐熱圧用といった種類に分けられます。実際に私たちも形の違いについては、デザイン上のことで内容物が関係しているとはこの研究を始めるまで知りませんでした。(図1参照)

 次に、「月にどれくらい購入しますか」と質問したところ、全体では約4割の人が月に10本以上購入しており、利用度の高さがうかがえました。性別でみると、女子より男子の方が圧倒的に利用率の高いことが明らかになりました。また「どこでよく購入しますか」と尋ねたところ、約4割が「自動販売機」約3割が「コンビニ」約2割が「スーパー」と答えました。購入場所はほぼこの3か所に限られており、高校生の日常生活と密接に関係していることが分かりました。では「よく購入するサイズはどれですか」と尋ねたところ、約9割の人が「350~500ml」のミニペットボトルと答えました。さらに「どのような種類の飲み物を購入しますか」と尋ねたところ、約4分の1の人が「果汁飲料」と答え、次いで「スポーツ飲料」「炭酸飲料」と続きます。性別でみると、男子は「スポーツ飲料」の割合が高く、逆に「紅茶」の割合が低くなっているのが明らかになりました。運動部の活動が盛んな本校において、この結果は妥当であると判断できます。(図2~4参照)

 また、「購入する際、何を重視していますか」という質問をしたところ、「味」約43.1%、「価格」約33.0%、「量」約13.4%であり、この3つで約9割を占めます。それに対して「デザイン」と回答した人は約4.0%に過ぎず、購入する際の判断基準になっていないことが明らかになりました。さらに価格への満足度を調査した結果、約6割の人が「満足」と答え、性別では男子より女子の方が満足度が高いことが判明しました。(図5~6参照)

(3)ラベルのデザイン効果について

 これまでの調査結果から『デザイン』が購買動機になることはあまりないことが明らかになりましたが、果たして本当にそうであるのか、さらに詳しく調査していくことにしました。

 まず、「ラベルを見ないで購入することがありますか」と尋ねたところ、全体の約46.3%の人が「大いにある」「ある」と答え、約53.7%の人が「あまりない」「全くない」と答えました。予想外にラベルを見ずに購入していることが分かりました。「大いにある」と答えた人はラベルを見ずにどうやって商品の区別をしているのか少し疑問に感じました。

 次に、「商品選択の決め手になることがありますか」と尋ねたところ、肯定意見、否定意見ともに約半数ずつという結果になりました。しかし、「全くない」と答えた人は約8.8%とごく少数であり、何らかの形でラベルデザインが選択効果に影響を与えていることが明らかになりました。

 では、実際にラベルの色やデザインに興味・関心があるかどうかを調査してみました。その結果、約13ポイント否定意見が上回りました。これまでの調査結果同様、あまり興味・関心がないことが再確認されました。性別にみると男子の方が興味・関心度が低いことが分かりました。ラベルを見て購入するものの、商品を区別する為の一瞬程度しか見ていないようです。

 また、「ラベルがブランドイメージを定着させる要因となることがありますか」と尋ねたところ、全体の約7割の人が肯定的に捉えており、中でも男子は約8割の人が肯定的であり、各社の特徴あるラベルのデザインは消費者に強い印象を与えていることが分かりました。したがって、ラベルデザインが私たちにイメージ効果を与えていることが明らかになりました。

 さらに、「今までに印象に残ったラベルはありますか」と尋ねたところ、興味・関心度が低いせいか、否定的な意見が6割以上を占めました。では、実際に「ラベルが印象に残った商品」について質問したところ、「コカ・コーラ」を筆頭に「おーいお茶」「アクエリアス」「CCレモン」「午後の紅茶」等、実に30種類以上の商品名が挙がりました。このような定番商品のラベルデザインは、やはり消費者の目にとまりやすく印象に残るようです。(図7~11参照)

(4)形状のデザイン効果について

 今度は、近年バラエティ豊富な形状からなるボトルデザインについてどのような効果があるかを調査してみました。

 まず、ラベルと同様に「商品選択の決め手になることがありますか」と尋ねたところ、肯定意見が3割弱とラベルよりさらに選択効果が低いことが明らかになりました。

 次に、形状デザインの関心度を調査した結果、前問同様、関心度が低いことが分かりました。このことから形状が購買効果を左右しているとはあまり考えられないことが明らかになりました。

 また、「形状がブランドイメージを定着させる要因となることがありますか」と尋ねたところ、

 ラベルとは逆に全体の約7割の人が否定的に捉えており、商品の差別化を特徴づけるものではないことが分かりました。しかし、中には当然印象強い商品もあります。そこで印象に残った形状と持ちやすい形状について調査したところ、「瓢箪型」と答えた人が全体の約3~4割を占め、突出していることが分かりました。形状については否定的意見が多い中、最近のヒット商品である「ファンタ」のボトルデザインは特筆すべきではないでしょうか。(図12~16参照)

(5)将来性

 まず、「これから何に一番重点を置いて商品化するのが望ましいと思いますか」と尋ねたところ、「味」94人、「価格」74人のこの2点が突出しており、「デザイン」は48人と3番目に多い結果となりました。今までの結果からすると予想以上に期待されていることが明らかになりました。

 次に、将来デザイン効果が期待されるものを調査したところ、「ストロー付き」が一番多く、次いで「サイズ調整可能」、3番目が「キャラクター型」という結果に終わりました。

 また、「今後、ペットボトルのデザイン効果は期待できると思いますか」と尋ねたところ、「大いにできる」「できる」と答えた人は全体の8割以上と将来のデザイン効果に期待していることが明らかになりました。

 さらに、「今後、デザインに期待する効果は何ですか」と尋ねたところ、「購買効果」が126人と突出しており、次いで「イメージ効果」「環境効果」と続きます。その他には、「視覚効果」「選択効果」「経済効果」という回答が得られました。このような効果が今後、ますます高まってくれる事を願いたいと思います。(図17~20参照)

5.おわりに

 今後、ペットボトルのデザイン効果をさらに発揮させ、購買効果を上げるためには、様々な工夫が必要であることがこの研究を通して明らかになりました。

 例えば、すでに発売されているキャラクター型や収納しやすいボトルをはじめ、高齢者や障害者でも安心して気軽に使うことのできるボトル、さらには環境を配慮したボトル等、インパクトが強く、利便性が高く、ブランドイメージが定着するデザインを追求していく必要があると感じます。

 様々な角度や切り口で新たな機能を持った商品が開発されていくことは、消費者の購買意欲を高め、経済の活性化につながると思います。これから先、斬新なアイデアを取り入れたペットボトルがデザインされ、新しい効果が発揮されることを私たちは願います。

参考文献・資料・サイト

http://blog.eightbit.co.jp/ ものづくりブログ

http://www.suntory.co.jp/ ペットボトル百科

http://www.amazon.co.jp/ ペットボトルの種類

http://www.meti.go.jp/ デザイン効果

http://www.mokku.info/ キャラクター型ペットボトル

http://greenz.jp/ ペットボトル 新しいデザイン